■ 第12回「デマ」2009.10.5

雑排水管工事中に大島さんが急いで帰ってきた。
大島:「雑排水管の処置中、トイレが使用できないどうするんやと怒ってきた人がい
ますがどうしましょう?」
大石:「なぜ怒ってるの?処置が終わればすぐ使えるのに少しの時間も待ってもらえないのでしょうかね」
志村理事長:「怒ってきている方々にちょっと説明しましょう」
平山:「それが良いでしょうね」そこに何名かがやってきた。
居住者A:「なぜ私たちの家だけ、トイレを使ったら駄目なんですか」
居住者B:「今処置をしている場所は私たちの家と関係ないんじゃないのですか」
居住者C:「汚水が漏れているというのは嘘やろ!」
居住者D:「なんで住民でやらなあかんねん!業者にさせた方が確かやろ!」
居住者E:「10分程度で終わると聞いていたのに何でこんなに時間がかかるんや!」
居住者F:「雑排水管は全滅やと聞いてたのに何故ここだけ掘るんや!」
大石:「ちょっと、待ってください。今、説明しますから」
志村理事長:「私から説明しましょう」
居住者E:「説明するって、おまえ誰や!」
志村理事長:「管理組合理事長の志村です」
居住者E:「私は普段仕事で忙しいから管理組合や自治会なんかに出たこと無いから知らんかった」
志村理事長:「いえ、別に良いですよ。お忙しいんですね。じゃ、説明しますね。現在、雑排水管の亀裂又は破断が発見されたのは、ここだけなんですよ」
居住者F:「いや私は全滅やと聞きましたよ」
志村理事長:「今、確認できているのはここだけで間違いありません。全滅やというのは誰から聞かれたのですか」
居住者F:「みんなが言ってるんや」
志村理事長:「それは根拠のない話ですね。現在、雑排水管の損傷をうけているのは間違いなくここだけです。だから今みんなで力を合わせて復旧にかかっているんですよ」
居住者D:「業者に任せた方が速いでしょうし、きっちり直せるんじゃないのか」
志村理事長:「そうですね、でも業者にはご存じの通り電話が通じないため、連絡のとりようがないんですよ。でも、このマンションにも配管等に詳しい方もいらっしゃるんで
す。その人たちが指揮をとりながら復旧にあたっているんです」
居住者E:「10分程度で終わると聞いたのはどうなんや」
志村理事長:「それは誰から聞かれましたか?」
居住者E:「みんなが言うとったんや」
志村理事長:「それも誤った情報です。ご覧の通り、みんな必死で作業しているんですよ。みなさんも一緒に手伝ってください」
居住者A:「なんで私たちが手伝わなければならないんですか?管理組合でやってください!」
志村理事長:「ひょっとして皆さん勘違いしていませんか?管理組合とはみなさんも含めてマンションに住んでいる人たちで構成されているものなんですよ」
居住者B:「嘘やろ!みんな言ってましたよ。管理組合が勝手にやってるって」
志村理事長:「決して勝手にやっている訳ではありませんよ。ちゃんとみんなで相談して、少しでも速く雑排水管が復旧すれば、避難所に行く必要は無いんです。マンションのダメージが少なく、トイレが復旧すれば自分の家で住み続けることが可能なんですからね」
大石:「そうですよ。やっぱり自分の家が一番落ち着くでしょう」
平山:「みなさん、こういう時にはデマが横行します。不安や不審に思うことがあれば、管理組合の理事の人たちや管理事務所に聞いてください。真実を知らないもの同士で話をしても不安が大きくなるばかりですよ。こんなときこそ、正しい方向性を保てるように一緒にやりましょうよ」
大石:「そうです。みなさんデマに流されず正しい情報を得るために一緒に頑張りましょう!」
そこに津田さんが帰ってきた。
津田:「車の中で避難生活を始めている人がいますがどうしましょう?」

第12回の学習ポイント
災害直後には入り乱れて伝わってくる情報にはデマ、つまり根拠のない情報も数多く含まれています。デマの内容はさまざまで悪意があるとは限りません。しかし、パニッ
クに巻き込まれる、危険度を見誤る等生命に関わるデマも発生する可能性があるのです。そうした根拠のない情報に惑わされないためには用心と情報を見分ける判断力が必要です。
●要注意のキーワード「全」
全滅、全員が、全面的に等、「全」のつく情報には注意が必要です。本来は部分的な話だったものが、人づてに広まるうちにエスカレートすることが多いのです。
●デマを見抜く力
デマの内容は様々です。その多くは断定的な時間、根拠のない数字、専門家や有名人の名前を使う等、それらしく聞こえるように装います。誰でもすぐにデタラメとわかるような話はデマとして広まる前に消えてしまうからです。
●断定的な日時には要チェック
断定的な発生時刻を入れた予報や警報は出ることはありません。「こんなに危険なことが今にも起こる!急げ!」という話を聞いたら、あなたはどう行動しますか。
※日頃から地域コミュニティ活動に参加し、デマに惑わされる等災害時に孤立しないよう、「挨拶」をする等、コミュニケーションをとるように心掛けましょう!
中国で発生した四川大地震は、決して他人事ではありません。自分の身は自分で守れるように日頃から正しい防災意識を持ちましょう!